建設業許可の全体像|福岡の要件・費用・申請から許可後の届出まで

福岡で建設業許可を考えるときは、まず請け負う工事に許可が必要かを確認し、営業所・契約関係・工事内容から許可の種類を決めます。
必要な許可が見えたら、人・財産・営業所などの要件を確かめ、証明できる資料をそろえて申請します。
取得後も更新や届出が続くため、費用と日程だけでなく、許可を維持する準備まで含めて考えることが大切です。
許可の要否は工事内容と請負契約で分けて考える
最初に、今の工事とこれから受けたい工事を並べる
「取引先から許可を取ってほしいと言われた」「これまでより大きな工事を受けたい」「独立したので必要か知りたい」。建設業許可を調べ始める理由はさまざまです。まず、現在の仕事と、今後受注したい仕事を分けて書き出してください。
確認するのは、工事の具体的な内容、請負代金、発注者との契約関係、元請・下請の立場です。見積書に書いた工事名だけでは内容が分かりにくいこともあるため、何をどこまで施工するのかを説明できるようにしておきます。
元請から求められた取引条件と、法律上の許可義務は、分けて確認する必要があります。法律上は許可が不要な規模でも、取引先が許可業者との契約を条件にしている場合があります。反対に、取引先から何も言われていなくても、許可が必要な工事を請け負うなら、その要否を自分で確かめなければなりません。
軽微な工事の基準は、建築一式とそれ以外で異なる
建設業法では、軽微な建設工事だけを請け負う場合を除き、建設業を営むための許可が必要です。建築一式工事以外の軽微な工事の基準は、工事1件の請負代金が500万円未満(税込)です。建築一式工事では、1件1,500万円未満(税込)、または延べ面積150㎡未満の木造住宅が基準になります。
ここでの「未満」を「以下」に読み替えないことが大切です。また、建物に関係する工事なら、何でも建築一式工事の基準を使えるわけではありません。内装や塗装などの専門工事を単独で請け負う場合は、実際の工事内容に応じて判断します。
木造住宅の基準を使う場合も、構造・用途・床面積を確認します。店舗などを併用する建物は、居住部分の割合も関係するため、「木造だから許可はいらない」と先に結論を出さないようにしてください。
下請として受ける工事でも、許可が必要になることがあります。
許可の要否は、元請か下請かという呼び方だけでは決まりません。
税込みの契約額と支給材料を確認する
工事の規模を確かめるときは、税抜きの見積額だけで判断しないようにします。注文者から材料の支給を受ける工事では、その材料の市場価格や運送費なども、法令の定めに従って確認する必要があります。
また、同じ工事について正当な理由なく契約を分けても、それだけで軽微な工事の扱いにできるわけではありません。「契約書を分ければよい」「材料はお客さんの購入だから関係ない」と考えず、契約と施工の実態を一緒に整理します。
出典:建設業法 第3条、建設業法施行令 第1条の2/国土交通省「建設業の許可とは」/福岡県「建設業許可申請等の手引き」第1 建設業の許可のあらまし。
許可の種類は営業所・下請契約・工事内容の質問で絞る
建設業を営む営業所は、同じ県内にあるか
知事許可と大臣許可は、建設業を営む営業所の置き方で分かれます。営業所が同じ都道府県内だけにある場合と、都道府県をまたいで存在する場合で、申請する許可が異なります。
工事現場が県外にあるという理由だけで、大臣許可になるわけではありません。福岡県知事許可の業者が県外の工事を請け負うことも、制度上は可能です。営業範囲と営業所の配置を混同しないようにしましょう。
ただし、登記上の本店や支店の名称だけで決めることもできません。建設工事の請負契約にどのように関わっているかなど、営業所の実態を確認します。将来の支店開設を考えている場合は、その予定も相談の際に伝えてください。
発注者から直接受ける工事で、どの規模の下請契約を結ぶか
一般建設業と特定建設業の違いは、単純な会社の大きさや売上高では決まりません。発注者から直接請け負う工事ごとに、その施工のために結ぶ下請契約の総額が基準に達するかを確認します。年間の下請発注額や、別の工事の契約額をまとめて判定するものではありません。
特定建設業の判断に使う下請契約総額の基準は、5,000万円以上(元請として下請に出す合計・税込)です。建築工事業では、8,000万円以上が基準になります。元請として受けた金額そのものを、そのままこの基準に当てはめないようにします。
下請からさらに別の業者へ発注する場合も、元請の場合と同じ説明だけで判断できません。誰から直接工事を受け、誰と下請契約を結ぶのかを図にすると、確認する関係が見えやすくなります。
実際に請け負う工事は、どの業種に当たるか
建設業許可は、29業種の区分ごとに考えます。「リフォーム」「設備」「外構」といった普段の仕事の呼び方と、許可業種の区分が、そのまま一致するとは限りません。
建築一式工事の許可があるからといって、どの専門工事も許可済みになるわけではありません。工事の内容、請け負う範囲、附帯する工事との関係を見て、必要な業種を選びます。
今の受注内容に加え、今後広げたい工事の範囲も整理しておくと、取得する業種と、取得後に追加を検討する業種を分けて考えられます。業種に応じた技術者の要件も関わるため、取りたい業種を先に増やすだけでは準備は進みません。
出典:建設業法 第3条・第15条・第16条、同法別表第一、建設業法施行令 第2条/国土交通省「建設業の許可とは」/国土交通省九州地方整備局「よくわかる建設業法」建設業の許可、一般建設業と特定建設業の違い。
許可の要件は「人・金・場所・過去」で整理する
経験があることと、要件を資料で説明できることを分ける
一般建設業の許可では、経営業務の管理能力、技術者、誠実性、財産的基礎、欠格要件への非該当を確認します。適切な社会保険への加入も許可基準に関係します。次のように整理すると、自分の準備がどこで止まっているかを見つけやすくなります。
| 整理する言葉 | 主に確かめること | 準備の入口 |
|---|---|---|
| 人 | 経営を管理する体制、営業所の技術者 | 誰が、どの立場で、どの業務を経験したか |
| 金 | 財産的基礎や資金調達能力 | 決算内容や、要件に対応する資金の説明 |
| 場所 | 建設業の営業所としての実体 | 契約を扱う場所、使用する権限、事務所の状態 |
| 過去 | 誠実性、欠格要件への該当の有無 | 対象となる役員等の経歴や処分歴など |
経営を管理する人については、常勤役員等(旧:経営業務の管理責任者)の体制を確認します。従来の「経管」に当たる人の経験による方法に加え、認められた補佐体制による方法もあるため、単なる呼び名の置き換えとして捉えないようにします。社長本人の経験だけで決まると考えず、どの方法で要件を説明するのかを整理します。
技術者については、営業所技術者等(旧:専任技術者)を、許可を受けたい業種に対応させて確認します。各営業所に原則として専任で配置する必要があり、資格があるかだけでなく、その資格が対象業種に対応するか、経験による説明が必要か、営業所での勤務実態をどう説明するかが論点になります。
経験を積んでいても、当時の契約関係や在籍状況を確認できる資料が残っていない場合があります。反対に、手元に資料があるなら、どの経験を説明できるかをそこから整理できることもあります。まずは経歴と資料の所在を並べ、足りない部分を見つけてください。
財産・営業所・過去の事情は、それぞれ別に確認する
一般建設業の財産的基礎は、次の基準で確認します。
次のいずれか:①自己資本500万円以上 ②500万円以上の資金調達能力(残高証明等) ③直前5年間許可を受けて継続営業
どの方法で要件を説明するのかにより、確認する資料や時点が変わるため、「口座に資金がある」という話だけで準備を終えないようにします。
特定建設業では、一般建設業と比べて技術者や財産に関する基準が異なります。一般の要件を満たすことだけで特定も取れると考えず、希望する許可区分に合わせて確認します。
営業所は、登記や住所の記載だけではなく、建設業の営業所として使われている実態を整理します。自宅や賃貸物件を使う場合も、使用する権限や生活部分との区分など、説明すべき点が変わります。福岡県では営業所写真の提出についての案内も確認します。
過去の処分歴など気になる事情がある場合は、関係する人、処分や刑の内容、その後の経過を整理して個別に確認します。許可の可否を自己判断して隠したり、反対に相談前から取得を諦めたりしないことが大切です。
社会保険は、加入の対象かを先に確かめる
社会保険は、全員に同じ加入方法が当てはまるわけではありません。法人か個人事業か、働く人の立場や雇用の状況などを整理し、健康保険・厚生年金保険・雇用保険について、それぞれ適用対象かを確認します。
「加入していない」という結果だけを見るのではなく、加入義務があるのか、対象となる届出をしているのかを区別します。個人事業の一人親方と、法人を経営する人を同じ扱いにしないようにしてください。
当事務所では、建設業許可とあわせて宅建業、農地転用・開発許可、在留資格、相続、経理も扱っています。周辺分野が関わる場合も、まず建設業許可で何を説明する必要があるかを整理し、準備の順番を考えます。
出典:建設業法 第7条・第8条・第15条・第17条、建設業法施行規則 第7条/国土交通省「許可の要件」/福岡県「建設業許可申請等の手引き」第1 建設業の許可のあらまし/福岡県「営業所写真の提出について」。
申請準備と審査の期間を分けて予定を立てる
書類を集める前に、申請の組み立てを決める
許可までの予定は、申請書を提出する日だけから逆算するのではなく、要件確認と証明資料の準備から考えます。希望する許可の種類や、経験を証明する方法が定まらないうちに証明書を取り寄せると、使わない書類を集めたり、後で取り直したりすることもあります。
- 今の工事内容と、今後受注したい工事を整理する。
- 必要な許可区分・業種と、要件を満たす方法を確認する。
- 経歴、工事の取引資料、財産、営業所、社会保険などの資料を確認する。
- 必要な証明書をそろえ、申請書類との整合を確かめる。
- 管轄する窓口に申請し、補正や追加説明の連絡に対応する。
- 許可通知を確認し、許可後の届出や更新の管理を始める。
経営者や従業員の経験を確認する資料、会社に保管されている資料、公的機関から取り寄せる証明書は、入手方法が異なります。関係者に確認することと、書類を取り寄せることを分け、進められる作業を並行させます。
標準処理期間は、相談開始からの総期間ではない
福岡県知事の新規申請の標準処理期間は、2か月です。申請までの資料収集にかかる準備期間とは別で、受付書類の補正等に要した日数が加算される場合があります。相談を始めてから許可を受けるまでの総期間と、審査の目安を分けて考えてください。
「この契約までに許可を取りたい」という希望がある場合は、契約や着工の予定も含めて早めに相談してください。申請を出せば希望日に間に合うと決めつけず、要件と資料の準備状況から日程を組み立てます。
申請後に説明や資料の追加を求められた場合も、内容を確認して対応する工程が必要です。担当者からの連絡先や、資料の追加に協力してもらう人を、提出前に整理しておくと進行を管理しやすくなります。
出典:建設業法 第5条・第6条/福岡県「建設業許可の手引き、申請書類などはこちら」/福岡県「建設業許可のよくあるご質問」標準処理期間に関する項目。
費用は手数料・報酬・実費を分けて確認する
同じ「新規申請」でも、見積もりの範囲をそろえる
建設業許可の費用には、行政へ納める手数料、行政書士に依頼する場合の報酬、証明書の取得などにかかる実費があります。これらが見積書のどこに含まれるかを確認すると、申請に必要な予算を整理できます。
福岡県知事許可の新規申請で、一般・特定のいずれか片方を申請する場合の行政手数料は、90,000円です。同時に申請する許可区分や申請の組合せによって、必要な手数料は変わります。
当事務所の報酬は、資料の状況やご依頼の範囲を確認したうえで個別にお見積もりします。証明書の取得費用などの実費も、必要な資料が決まってから別に確認します。
行政手数料だけを、事務所報酬や実費まで含めた支払総額として扱わないようにしてください。見積もりでは、報酬の税込み・税別の区分、依頼に含まれる作業の範囲、追加対応の扱いを確認します。
資料の状態と申請の組合せで、準備する予算が変わる
経営経験や実務経験の確認に追加の整理が必要な場合、営業所を増やす場合、許可区分や申請を組み合わせる場合などは、作業の範囲を確認します。「申請書を作る」という説明だけで比較せず、どこまで確認・収集・補正対応を依頼するかを明らかにします。
手数料の納付方法は、紙申請は提出先窓口での福岡県領収証紙または利用可能なキャッシュレス決済、JCIPによる電子申請は「納付待」の案内に従うふくおか電子申請サービスでのオンライン決済です。窓口でのキャッシュレス決済と電子申請用のオンライン納付は別の仕組みです。利用できる決済方法や支払う時期を、申請時の案内と提出先で確認します。
許可が取れた後の更新や届出にも、作業と費用が発生することがあります。取得時だけの見積もりと、継続して依頼する業務の範囲を分けておくと、運用を始めた後の負担も考えやすくなります。
出典:福岡県「建設業許可の手引き、申請書類などはこちら」許可申請手数料/福岡県「建設業許可後の手引き」手数料に関する項目/福岡県「建設業許可・経営事項審査の電子申請(JCIP)のご案内」手数料の納付方法。
福岡の提出先は主たる営業所の所在地で確かめる
市区町村だけでなく、町名まで照合する
福岡県知事許可の申請・届出先は、主たる営業所の所在地によって分かれます。県の提出先一覧に掲載されている受付窓口は、11か所です。近い窓口や、以前に別の手続きで利用した窓口を、そのまま提出先と考えないようにします。
福岡市内でも、博多区・南区の一部は、那珂県土整備事務所の管轄に分かれます。区名だけで判断せず、町名・丁目などを含む営業所の所在地と、県の一覧にある対象範囲を照合してください。境界の説明がある地域では、その条件まで確認します。
制度全般の問い合わせ先は、福岡県 建築都市部 建築指導課 建設業係 TEL 092-643-3719 FAX 092-643-3754です。制度の問い合わせ先と、実際の申請・届出の提出先を分けて確認すると、相談の行き違いを減らせます。
福岡県の現行資料を基準に、使う書式を選ぶ
他県の解説記事や以前保存した書類は、制度を理解する参考にはなっても、福岡で提出する書類の選定をそのまま代わりにするものではありません。福岡県の現行ページで、申請区分に対応する手引き、書類一覧、改訂情報を照合します。
営業所については、県の「営業所写真の提出について」の案内も確認します。事務所の状態や写真の撮り方に関する論点は、申請書を完成させた後ではなく、物件の利用方法を考える段階で整理すると、準備の順番を立てやすくなります。
受付窓口の一覧や地域ごとの詳しい確認は、地域版の記事に分けています。この記事では、主たる営業所の所在地を確かめ、県の提出先一覧に当てる、という入口を押さえてください。
出典:福岡県「建設業許可の手引き、申請書類などはこちら」申請・届出書類の提出場所および管轄に関する注記/福岡県「営業所写真の提出について」。
許可後の管理まで見据えて、次の準備を決める
更新・決算・変更の予定を分けて管理する
建設業許可の有効期間は、5年(許可日から5年目の対応日の前日まで)です。期間の満了後も許可を維持したい場合は、更新の手続きを行います。許可通知を受け取ったら満了日を確認し、更新申請に必要な準備を予定に組み込みます。
決算関係の届出は、更新とは別に、毎事業年度の終了後に行います。提出期限は事業年度終了後4か月以内です。税務申告を済ませたことと、建設業許可に関する決算変更届を提出したことは、分けて管理する必要があります。
役員、営業所、経営を管理する体制、営業所技術者等などに変更があったときも、内容に対応した確認や届出が必要です。期限は変更内容によって異なるため、更新の時期にまとめて考えるのではなく、変更が決まる段階で整理します。
特に、人の退職や事業所の変更は、単なる書類の差し替えで済むのか、許可要件を引き続き満たせるのかを分けて確認します。届出をすれば、そのままどのような状態でも営業を続けられる、という意味ではありません。
許可後は、標識の掲示、帳簿や契約書面など、日々の営業に関わる義務も確認します。許可を取ることと、許可業者として適切に営業を続けることを、一続きの準備として考えてください。
最初の相談では、工事・営業所・経験が分かる情報を伝える
まだ必要な許可が分からなくても、すべての書類をそろえてから相談する必要はありません。現在の工事内容、今後受けたい仕事、営業所の所在地、個人事業か法人か、経営や施工を担当する人の経歴を、分かる範囲で整理してください。
手元にある見積書や契約関係の資料、経歴のメモなどから、先に確認したい点を選びます。資料に取引先や個人の情報が含まれる場合は、最初の連絡で全部を送らず、必要な範囲と共有方法を相談してください。
許可が必要かの確認、業種の選択、人の経験の証明、営業所の整備など、先に解くべき論点は事業者ごとに異なります。この制度の地図から自分の課題を選び、関連記事で理解を深めながら、準備を進めましょう。
出典:建設業法 第3条・第11条・第19条・第40条・第40条の3、建設業法施行規則 第5条/国土交通省「許可後の手続き」/福岡県「建設業許可後の手引き」許可後に行う主な手続き/福岡県「建設業許可申請等の手引き」第2―3 許可事項の変更届出等を行う場合、第2―4 決算終了後の届出を行う場合。