国際行政書士斉藤事務所

福岡の建設業許可|赤字・債務超過と財産要件を分けて考える

赤字や債務超過という言葉だけで、建設業許可の可否を決めることはできません。
一般と特定で財産要件が異なり、一般には自己資本以外の経路もあります。
決算のどの指標を確認し、どの資料で説明するかを整理したうえで、改善策を検討します。

赤字と債務超過は、同じ状態を指す言葉ではない

当期の収支が赤字であることと、資産と負債の関係から債務超過となっていることは、確認する側面が異なります。許可の財産要件を調べるときは、経営者の感覚的な「決算が悪い」という説明だけでなく、財務諸表のどの項目がどうなっているかを整理する必要があります。

よくある勘違いは、赤字なので許可は取れない、または利益が出ているので財産の確認は心配ない、と考えることです。過去の損失や資本の状況も関係するため、直近の損益だけでは自己資本等の条件は分かりません。口座の残高も、決算上の自己資本と同じものではありません。

まず、申請するのが一般か特定か、新規か別の手続きかを確認します。その区分に合う指標と資料を見て、どの条件をどの経路で説明するかを考えてください。経理上の科目や計算に不明な点があれば、税理士等へ確認してから進めます。

赤字と債務超過を分ける期間の損益と資産負債の関係を区別し、財産要件の指標へ照合する。 損益の確認当期の収支を見る赤字か黒字か財産の確認資産と負債を見る自己資本等を照合

出典:建設業法 第7条第4号・第15条第3号/国土交通省「許可の要件」経営業務管理・営業所技術者等(旧:専任技術者)・財産的基礎/福岡県手引き・財産的基礎と財務判断時点(誌面19頁)。

一般は自己資本だけでなく、資金調達能力等の経路を確認する

一般建設業の財産的基礎の要件は次のいずれか:①自己資本500万円以上 ②500万円以上の資金調達能力(残高証明等) ③直前5年間許可を受けて継続営業です。自己資本の経路に該当しない場合も、他の経路を検討します。したがって、決算の自己資本が不足しているという事実だけで、一般の財産要件を一律に満たせないと判断するものではありません。

ただし、別の経路を使う場合も、その条件と確認資料が必要です。残高等で説明するなら、誰の口座か、どの日の残高か、必要な証明が取得できるかを確かめます。資金があると口頭で説明するだけでは足りず、県の資料の取扱いに合わせて準備する必要があります。

また、財産要件を説明できることと、事業を継続するための資金繰りが整っていることは、完全に同じ問題ではありません。材料費や人件費などの支払いを含めた計画と、許可申請で使う資料の準備を、両方考えることが大切です。

出典:国土交通省「許可の要件」経営業務管理・営業所技術者等・財産的基礎/福岡県「許可申請書・確認資料一覧表〔チェックリスト〕」新規申請・注意事項/福岡県手引き・財産的基礎と財務判断時点(誌面19頁)。

特定は財産条件をまとめて照合し、残高だけで置き換えない

特定建設業の財産要件は欠損の額が資本金の20%以下、流動比率75%以上、資本金2,000万円以上かつ自己資本4,000万円以上を全て満たす。財務判断は既存事業者では原則直前決算、新規設立企業では創業時の財務諸表。特定許可申請日までの増資で資本金基準を満たす場合は、資本金額の基準を満たすものと扱う。です。一般よりも確認する条件が加重されており、一般で検討した残高の説明を、そのまま特定にも使えると考えないでください。欠損、流動比率、資本金、自己資本など、区分に応じた各条件を照合します。 県の手引きでは、既存事業者は原則として直前決算、新設事業者は創業時の財務諸表で確認します。特定で申請日までに増資して資本金の基準を満たす場合の扱いもありますが、資本金以外の条件を残高だけに置き換えるものではありません。

ある項目だけが足りているから、別の項目が不足していても問題ないという理解も避けます。計算の対象となる数値、決算のどの時点を用いるか、決算後の変更をどのように扱うかを、現行の手引きに沿って確認します。増資すればすべて解決するという単純な話ではありません。

特定を必要とする受注計画がある場合は、工事の契約関係と下請への発注も合わせて整理します。財産条件だけを見て一般か特定かを選ぶのではなく、事業に必要な許可区分を確認したうえで、整備すべき条件と日程を検討してください。

改善策を検討する順番許可区分と不足する条件を把握してから会計税務を含めて改善策を確認する。 必要な許可区分を確認不足する条件を特定専門家と改善策を検討

出典:建設業法 第7条第4号・第15条第3号/国土交通省「許可の要件」経営業務管理・営業所技術者等・財産的基礎/福岡県手引き・財産的基礎と財務判断時点(誌面19頁)。

債務超過と誠実性等を混同せず、改善策は専門家と確認する

財産の条件、請負契約上の誠実性、欠格事由などは、それぞれの要件として確認します。債務超過という言葉だけから、他の要件にも当然に該当するかのように説明することは避けます。一方で、申請書や決算資料を実際と異なる内容にしてよいわけではありません。

増資、役員からの借入の扱い、借入金の資本化等を検討する場合は、会計・税務・会社の手続きが関係します。数値が変われば許可の条件に合うという計算だけで実行せず、税理士や必要な専門家と、効果・負担・日程・必要手続きを確認してください。

申請のための改善と、事業を継続するための改善も、目的を区別して検討します。短期の資料だけに合わせるのではなく、実際の資金調達や返済、事業計画との整合を見ます。個別の税務判断をこのページの一般論だけで行わないことが重要です。

出典:建設業法 第7条第4号・第15条第3号/国土交通省「許可の要件」経営業務管理・営業所技術者等・財産的基礎/福岡県手引き・財産的基礎と財務判断時点(誌面19頁)。

福岡での相談では、決算と現在の資金状況を分けて示す

相談前には、直前の決算、現在の資金状況、希望する許可区分、予定する工事と申請の時期を整理します。数字の一部だけを切り出さず、何の資料のどの時点の数値かが分かる形にすると、確認を進めやすくなります。自己資本、流動資産と流動負債、資本金などは、同じ決算期の財務資料から拾い、法人と個人の計算方法の違いにも注意します。

福岡県の確認資料一覧と現行の手引きに合わせ、自己資本、資金調達能力、特定の各指標を説明する資料を調べます。決算後の出来事がある場合も、当時の状態と現在の状態を混ぜず、どこが変わったかを区別して相談してください。

当事務所へは、赤字だから無理だろうと決める前に、申請したい区分と資料の状態をお知らせください。残高証明は福岡の建設業許可|残高を証明する日と取得のタイミング、財産要件全体は建設業許可の財産要件|福岡で自己資本・資金と決算を確認するで確認できます。経理資料についても、税務申告と建設業許可で何を示す資料なのかを整理しましょう。資金面の対応を検討するときも、実際の資金調達と証明に使う資料の両面を確認します。

出典:福岡県「許可申請書・確認資料一覧表〔チェックリスト〕」新規申請・注意事項/福岡県「建設業許可の手引き、申請書類などはこちら」申請書類・手引きの案内/福岡県手引き・財産的基礎と財務判断時点(誌面19頁)。