建設業許可は個人・法人どちらで取る?福岡で法人成り前後を比較

個人の建設業許可は、法人を設立しただけで新会社へ移るものではありません。
個人の許可を持ったまま法人成りする場合は、事業承継の認可を検討する方法と、新たに法人で申請する方法を整理します。
個人で先に取るか法人で取るかは、受注、設立、資金、社会保険、使える経験資料を並べて考えましょう。
個人と法人は、営業する主体と許可の名義が異なる
個人事業主として請け負う仕事と、設立した会社として請け負う仕事は、契約の主体が異なります。代表者が同じだから、個人名義の許可を法人の契約へそのまま使えるという整理にはなりません。見積書や契約書、請求書の名義も、実際に営業する主体に合わせて確認します。
個人事業の時期に得た経営経験や工事経験が、法人の申請の要件を検討する材料になることはあります。しかし、その経験を人の要件として使うことと、個人の許可そのものを会社へ移すことは別の話です。経験がつながることだけで、会社の許可手続きが不要になるわけではありません。
会社設立の登記と、建設業許可の申請や承継認可は、目的も手続きも異なります。設立日だけで営業の切替えを決めず、いつから会社名義で契約を行うか、許可が必要な工事の予定がいつあるかを含めて検討します。
出典:建設業法 第3条・第17条の2/福岡県「建設業許可の承継の手引き」。
承継認可と新規申請は、空白期間や引継ぎの対象を確認して選ぶ
事業承継の認可は、会社設立の登記とは別に準備する制度です。個人事業から会社へ事業を譲り渡す場合も、要件を満たし事前に認可を受ける仕組みを検討します。法人を作った後で自由な日にさかのぼって切り替える手続きではないため、実行前の相談が重要です。県の承継手引きでは、法人成りの譲受先は法人設立後に認可申請を行う扱いです。法人の設立前から要件と予定を相談し、設立後に申請する順番を組み立てます。
県の承継手引きは令和7年3月版 https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/251229.pdfです。認可による承継では、許可に係る建設業の全部を引き継ぐことなど、対象となる事業と要件を確認します。引き継ぎたい部分だけを都合よく選べると考えず、既存の許可業種や一般・特定の関係も整理してください。
廃業と新規の方法を選ぶ場合は、旧許可がなくなってから法人が許可を受けるまでの営業の扱いを確認します。県の手引きでは、その間は許可業者として営業できないことが示されています。許可番号がそのまま続くと思い込まず、取引先や発注者の登録への影響も確かめます。
出典:建設業法 第17条の2/福岡県の承継手引き・従来の廃業と新規との関係。
財産と社会保険は、法人成り後の会社の状態で確かめる
一般建設業の財産要件は次のいずれか:①自己資本500万円以上 ②500万円以上の資金調達能力(残高証明等) ③直前5年間許可を受けて継続営業です。個人の預金や事業の財産が、そのまま法人の財産要件の説明になるとは限りません。会社設立時の資金、開始時の財務資料、決算の有無、申請区分を整理して、何で説明するかを確認します。
県の手引きでは、個人の許可の要件を保つため、承継前に常勤役員等(旧:経営業務の管理責任者)や営業所技術者等(旧:専任技術者)を法人へ移すことに注意を求めています。保険の加入時期については、認可申請の受付後に審査担当者と調整する扱いもあるため、設立日だけで所属や保険を一斉に切り替えないでください。本人だけが新会社の代表取締役となる場合にも、県独自の確認手順があるため設立前から相談します。
設立前から、資本金だけでなく会社としての資金繰りや必要な支出を考えます。許可の要件を満たすための数字を置くことと、実際に事業を運営する資金を確保することは、同じ確認ではありません。実体を伴わない処理や、会社と個人の資金の混同を前提に予定を立てないでください。
社会保険についても、個人の一人親方だったときと、法人で役員等として働くときでは、適用の確認が変わります。個人の時に適用除外だったから法人でも同じと考えず、報酬や勤務、従業員の構成に応じた加入状況を確認します。手続きの実行は社会保険労務士等と相談して整えます。
法人成りを予定しているなら、許可だけでなく、契約、請求、入金、従業員の所属、事務所の使用関係をいつ切り替えるかも整理します。個人名義の契約や資料が残る期間に、誰が工事を引き受けているかが曖昧になると、許可の申請資料とも説明が合わなくなることがあります。
まだ会社を設立していない段階では、希望する営業の開始時期と、要件を確認するためにそろえられる資料を書き出しましょう。資本金を決めることだけで、経営や技術者の経験の説明まで終わるわけではありません。会社を作る担当者と許可の準備をする担当者が別の場合は、設立や事業の移転の予定を共有し、手続きを行き来して確認することが大切です。
出典:建設業法 第7条/日本年金機構「適用事業所と被保険者」/福岡県の申請案内。
個人事業の経験を使うなら、営業と在籍の資料を保存する
個人事業の経営経験を法人の申請で検討する場合は、いつから何の工事をどのように請け負っていたかを示す資料が必要になります。確定申告等の資料、工事の契約書や請求書、入金の記録等を、事業の時系列に合わせて整理します。
昔の屋号と現在の会社名が異なる場合は、同じ事業の経緯を説明する資料を確認します。名前が似ているから説明不要とも、屋号が変わったから経験がすべて切れるとも決めつけないようにします。どの事実をどの資料で確かめるかを分けて見ることが大切です。
法人を設立する前後は、個人で受けた工事と会社で受けた工事が混在することがあります。請求書の発行や入金の口座も含め、契約の主体を正しく整理します。許可の申請のために、個人の仕事を後から会社の仕事として書き換えるような方法は選べません。
出典:建設業法 第7条/福岡県の手引き・経営経験と確認資料。
設立と営業の切替えは、税務や契約の予定とも合わせる
個人で先に許可を取る選択には、現在の個人事業で受注したい工事があるという事情が関係します。法人で申請する選択には、近く会社を設立して新会社で営業する予定などが関係します。どちらが全員に有利という結論を出さず、現在と将来の契約の主体を明らかにします。
法人化による税負担や資産移転の税務は、税理士の確認が必要です。許可のための順番を整理することと、会社設立や財産移転の方法を税務面から決めることを混同しないでください。取引先との契約をどう切り替えるか、借入れ等の手続きに何が必要かも、関係する相手へ確認します。
事業を譲渡する予定がある場合は、実行日を決める前から、認可を受けるための要件と審査の予定を確かめます。会社の設立だけ先に進み、人員や営業所の確認が残ったまま営業の名義を変える状況を避けるため、各手続きの前提を共有しましょう。
出典:福岡県の承継手引き・事業承継の要件。税務や契約の具体的な処理は、担当する専門家と確認します。
今の許可と法人成りの予定を、LINEで整理する
相談時は、今の個人の許可の有無、許可業種と有効期間、会社を作る予定、切り替えたい時期、人や営業所の予定を分かる範囲でお知らせください。すでに会社を設立している場合は、個人と法人で現在どの仕事をしているかも整理します。
取引先へ会社設立を知らせるときは、許可の状況についても実際に確認できた内容を伝えます。会社ができたことを、許可の引継ぎや取得まで終わったことと同じ意味で案内しないようにしてください。協力会社登録や入札に関係する手続きの変更がある場合も、許可とは別に確認する必要があります。
個人と会社の資料は、切替え前後の関係を追えるように保管します。契約主体が変わった時点、何の工事がどちらに属するか、何を承継したかが分かることは、許可だけでなく経理や取引の確認にも関係します。会社設立の手続きを終えた後も、事業全体の切替えの確認を続けましょう。
承継認可の全体像は建設業許可の事業承継|福岡で法人成り・親子承継・相続を準備で詳しく説明します。個人と法人のどちらが今後の契約の相手方となるか、切替え前に取引先とも確認しましょう。
出典:福岡県の申請・承継の案内。