経営事項審査(経審)とは?仕組みは意外とシンプルです【行政書士がわかりやすく解説】
最終更新日: 2026年7月20日
「経審って、なんだか難しそう」——建設業の社長さまとお話ししていると、よくこの言葉を聞きます。書類は多いし、点数の計算式は複雑そうだし、毎年何かの手続きに追われている気がする。でも、行政書士として先にお伝えしたいのは、経審の仕組みそのものは、意外とシンプルだということです。細かい計算式を覚える必要はありません。全体の骨組みさえつかめば、「自社の点数がなぜこの数字なのか」「どこを伸ばせるのか」は、社長ご自身の言葉で説明できるようになります。この記事では、その骨組みだけを取り出してご説明します。
この記事で分かること
- 経審(経営事項審査)とは何か、誰に必要か
- 点数(P点)の中身——たった5つの箱
- 毎年まわす4ステップの年間スケジュール
- 有効期間「1年7ヶ月」を切らすと何が起きるか
- 点数対策は「決算の前」に考える理由
経審とは何か——「公共工事の入口で受ける、会社の健康診断」
経営事項審査(以下、経審)とは、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が、必ず受けなければならない審査です(建設業法第27条の23)。
ポイントは「直接請け負う=元請になる」場合に必要だという点です。下請として公共工事の現場に入るだけなら、経審は不要です。
審査の結果、会社は「P点(総合評定値)」という一つの点数で評価されます。国や自治体は、このP点をもとに業者をランク分けし、入札に参加できる工事の規模を決めます。いわばP点は、あなたの会社の通信簿です。
P点の中身は、たった5つの箱
「点数」と聞くと複雑に感じますが、P点の中身は次の5つの箱に分かれているだけです。
| 箱 | 中身 | ウェイト |
|---|---|---|
| X1:完成工事高 | どれだけ工事をしてきたか | 25% |
| X2:自己資本と利益 | 会社の体力はあるか | 15% |
| Y:経営状況 | 財務は健全か | 20% |
| Z:技術力 | 技術者は何人いて、元請としての実績はどうか | 25% |
| W:社会性 | 保険加入、退職金制度、資格者の育成など、会社としての社会的な取り組み | 15% |
この5つを、決められた割合で足し合わせたものがP点です。それだけです。
つまり自社の点数を上げたいとき、考えることは一つ。「5つの箱のうち、どの箱なら自社は伸ばせるか?」——これが経審対策のすべての出発点です。売上を急に倍にはできなくても、たとえばWの箱(社会性)には、退職金共済への加入や技術者の継続教育など、今期から動けば着実に積み上がる項目が並んでいます。
少し脱線しますが、このW点の加点項目は「国が建設業界にこうなってほしい」と考えている方向そのものでして、W点を見れば、国が建設業に望む未来がわかるとも言われます。
年間の流れ——毎年まわす「4ステップ」
経審は一度受けて終わりではありません。公共工事を続ける限り、毎年次の4ステップを回します。
1. 決算を締める
経審の点数の多くは、この決算書の数字から計算されます。
2. 決算変更届(事業年度終了届)を提出する
許可行政庁に提出します。建設業許可を持つ会社が毎年提出する届出です。
3. 経営状況分析を申請する
登録経営状況分析機関に申請します。ここで5つの箱のうちY(経営状況)の点数が決まります。
4. 経審を申請し、結果通知書を受け取る
審査完了後、経営事項審査結果通知書が届きます。この通知書が入札参加の土台になります。
順番が決まっているだけで、やること自体は毎年同じです。一度この流れを社内カレンダーに落とし込んでしまえば、迷うことはありません。なお、ステップ2の決算変更届は当事務所でも作成・提出を承っています。費用は建設業許可の料金表をご覧ください。
ここで一つだけ、覚えておいていただきたい数字があります。
経審の結果の有効期間は「1年7ヶ月」
中途半端な数字に見えますが、これは決算から審査完了までに数ヶ月かかることを見越した「のりしろ」付きの設計です。裏を返せば、決算後の手続きが遅れてのりしろを使い切ると、有効期間が切れた状態=入札の世界からの一時退場が起きます。この空白期間中は、公共工事の契約ができません。経審で本当に怖いのは、点数の高い低いよりも、この「切らしてしまう」ことです。
対策の考え方——決算書を締めた瞬間、点数の9割は決まっている
もう一つ、行政書士として正直にお伝えしたいことがあります。
5つの箱のうちX1・X2・Yの3つは、決算書の数字から機械的に計算されます。ということは、決算書を締めた瞬間、点数の9割は決まっているのです。決算を締めた後に「点数を上げたい」とご相談いただいても、その期にできることはほとんど残っていません。
だからこそ、経審を意識するなら決算の「前」がタイミングです。たとえば完成工事高の計上時期、役員報酬や借入の考え方、Wの箱の加点項目の準備——いずれも決算前なら選択肢があります。細かいテクニックを覚える必要はありません。「経審は決算前に考えるもの」という一点だけ、頭の片隅に置いていただければ十分です。
なお、当然のことですが、点数を良く見せるための虚偽申請は営業停止などの重い処分の対象です。点数は決算前の準備で「作る」もので、「盛る」ものではありません。
まとめ——難しいのは手続きであって、仕組みではない
最後に、この記事の要点を3つにまとめます。
- 経審は、公共工事を元請で受けるための審査。結果はP点という一つの通信簿にまとまる
- P点の中身は5つの箱(X1・X2・Y・Z・W)だけ。対策は「どの箱を伸ばすか」を考えること
- 流れは毎年同じ4ステップ。ただし有効期間1年7ヶ月を切らすと入札から一時退場になる
いかがでしょうか。経審の「仕組み」は、この程度の分量で説明しきれるものです。難しく見えるのは、仕組みではなく、書類や手続きの部分。そしてその部分こそ、私たち行政書士がお引き受けできるところです。
「うちの5つの箱、今どうなっているんだろう?」と思われた方は、直近の経審結果通知書を眺めてみてください。見方がわからなければ、通知書を片手にご相談いただければ、一緒に読み解きます。
ご対応するのはこの行政書士です
国際行政書士斉藤事務所
代表行政書士 斉藤 実
建設業許可を中心に、外国人雇用の在留資格や不動産関連の手続きまで対応しています。「許可を取って終わり」ではなく、毎年の決算変更届から5年ごとの更新まで、長くお付き合いできる事務所でありたいと考えています。ご相談からご報告まで、すべて代表の私が直接担当します。
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